小学生のころ 2

そうなると後は吹雪だろうが大雪だろうが関係ありません、外へ飛び出しスキーです。
その頃のスキーは現在のような高度な技術で作られたものではありません、一枚板の短板スキーで靴は長靴、ストックは竹の棒で竹で作ったリングが付けてあります。       
そのスキーで結構どこでも滑るし、どこへでも出掛けました。長靴の中には雪は入るし、体温で解けてグジャグジャなっても構うことなく滑ってました、時を忘れて遊んでいるうちに夕方になると寒くなり、手袋は凍ってカチンカチンになり足は感覚がなくなるほど冷たくなり、濡れた衣服からはツララが下がり、自分ではビンディング(昔はパチンコと言ってました)を外せなくなり、泣きながら家へ帰り、母に外してもらうことも度々でした。
私が始めてスキーを体験したのは3歳か4歳頃だったと思います。
これは鮮明に覚えているのですが、父の背中におんぶされて滑った記憶です、そんなに大きい父ではなかったのですが、背中はとても高く、ひどく揺れて怖く、必死にしがみ付いていた思いがありありと思い出されます。
3月になるとだんだん暖かい日が続くようになり、屋根の雪が一番に消えていきます、そうなると屋根の上での日向ぼっこが楽しみでした。
降ろした雪はまだ屋根よりも高くなっているので、屋根に上るのは簡単です、むしろ登るのではなく屋根に飛び降りる感じでした。その頃の屋根は杉の皮を瓦状に切ったもので布いてあり、乾いた屋根はポカポカしてとても暖かいのです。
「屋根で遊ぶと痛むからやめろ」とよく言われましたが、時には父や母も屋根の上で日向ぼっこをしていた記憶があります。
雪遊びがいくら好きといっても、雪がだんだん消えて地面が見えてくる嬉しさはなんともいえないものがありました。
春が近くなるといろいろ楽しいことが増えます。
一つは雪が締まってきて”カタ雪”になり(雪の表面がクラストしてくること)どこへでもつぼ足で行けるようになることです。日中と夜間の温度差が大きくなるとこの現象になります。
今まではスキーとかカンジキをつけないと歩けなかったところへでもドンドン行けるようになります。
ただお昼ごろになると雪が緩んでくるので午前中が勝負ですが、山歩きもこの頃が一番良い季節です。
気をつけなければいけないことは、氷の状態になっているのでスキーのスピードがものすごく出てしまい、ブレーキを掛けてもなかなか止まらなず非常に危険なことです、でもそのスピード感と、立ち木を避けながら滑降するスリルはたまりませんでした。

(右上の写真は昭和16・7年頃、父に抱っこされているのが私、父の直ぐ隣が兄、その隣は近所の仲良し。父の職場対抗のスキー大会でのスナップ。左下の写真はお正月の風景だと思います、国旗が掲揚されていて郵便配達の人が、(多分新作さん)が年賀状を届けにきたのだと思います。前にお話した雪のトンネルの入り口が見えます。)

top page
小学生のころ2