尾根伝いの方が楽なのですが、ガイドさんはきつい方を選択しました。「ヨシ!頑張るぞ!」、紫灯森、牛首下部の大雪渓を越え、この辺は若い頃はスキーを担いで登り大雪渓をアットいう間に滑り降りたところです、そんなことを考えながら、必死にガイドさんの後を追います、それにしてもガイドさんの体力にはかないません、私も決して年齢的には非力ではないと思っているのですが、5月にも地元で行われた30キロの耐久ウオーキング大会を完歩したりしていますがこのガイドさんの体力には負けます。
所々で私の呼吸が整うまで待っていてくれます。いよいよ山頂直下の急斜面に取り付きます、この辺りは風が強く吹き抜ける場所で雪もあまり積もりません。岩場が続き、アイゼンを外し一足、一足、足をズリ上げるといった方がよいほど足が上がりません、こんな条件の中でも可憐な高山植物は咲いています、雪の消えた部分、岩場の隙間、に隠れるように吹き飛ばされるような強風の中でも目を楽しませてくれます、ガイドさんは一々名前を言ってくれるのですが強風と疲労の中で覚える余裕などありません。持っていった小型のデジカメで写真を撮りました、こんな中では大型の一眼レフはとても無理で車において来て良かったと思いました。マクロで何とか撮れたのですが、霧が深いのでとても自信がなかったのですが、帰ってから”Adobe
Photoshop”を使い修正をしたら結構みられる写真に仕上がりました。
何組かに追い越されながらやっと「鍛冶小屋」跡です、ここには数年前まで避難小屋があったのですが建物は今は無く、昔からあった「正一位のお稲荷さん」だけが祭られています。風が強く帽子などは飛ばされそうですが、石垣きの蔭は遮られて風も弱く、ホット小休止です。
最後の急斜面に取り付きます、風はますます強く少しバランスを崩すと吹き飛ばされそうでストックで支えながら登ります。なんとか予定通りの時刻11:00少し前、頂上にたどり着きました。風は強風ですが神社前は大勢の善男善女が開山式を待っていました、我々もその仲間に入れてもらい式を待ちます。お払いを受け、人型のお札を水に着けて神社前では式が始まったようです。神主さん?の声に合わせて信者の方々も唱和していますが我々にはよく意味が分かりませんでしたが身内のことを思いながら手を合わせました。強風の中でしばらくお払いを受けましたが、とにかく寒かったので途中でその場を去ることにしました。すぐ下山するのかと思ったらガイドさんは登山道から少し外れた所へ案内してくれました。下山に向かう人たちはあまり訪れないところで、そこには沢山の高山植物がありました、なかでも「クロユリ」を始めて見ました。何回も月山には登っていてクロユリのことも聞いてはいたのですが月山のどこに咲くかは知らなかったので、今回初めて見ました、まだ少し早いということでしたが強風と雨の中確かに咲いていました、感激です。写真を撮りましたがこのお天気ではよく撮れたかどうか自信がありません。長居は無用です、下山することにしました。足の硬直がまだ残っていて登りより下りの方で気を付けなければなりません、牛首下の雪渓を横断しているときわずかに霧がはれ少し視界が良くなり、登りでは気が付かなかった雪渓の全体像が少し見えましたが、大きな雪渓の中にいる我々はなんと小さなことかとしばし感嘆しました。無事下山して駐車場に戻りました、お疲れ様でした、自分でもよく登ったことでしばらくは感激に浸ってしまい、ガイドさんにどんなお礼を言ったのか覚えていません、今思えば「ハグ」ぐらいはすべきだったかなと悔やまれます。
本当にありがとうございました。