上岱は永松銅山の一番西に位置し、高台にあり、結構眺めの良いところです。
銅山の工場群が一望に見渡せ、赤沢のつり橋を渡りジグザグの登り道を仕事場に向かう社員、用事で行き来する住民の姿が遠望され、工場群後方のはげ山を鉄索の搬器がゆっくり上下する様子が眺められ、夕方の退社時間になると帰宅する人たちが一人、あるいは二人三人と固まりながらのんびり坂を下りてくる姿が見てとれ、その中に父の姿を見つけることができたときはうれしくなった気持ちがあります、特に夕焼けの坂道を降りてくる人々の姿は紅く染まり、夕日の中に溶け込み、まるで絵のようだったことを思い出します。川前の集落も上岱からは良く見え、雪解けの頃になると、後ろの山から雪崩が落ちる様子が見え、川前の集落が飲み込まれるのではないかとハラハラしたことが何度もありました。又赤沢沿いの集落が真下に見渡され、時には同級生が手を振る姿が見え、声は届きませんがお互いの姿を遠く確認でき、なんとも楽しい思い出です。上岱の集落は三棟の長屋しかなく全部で九世帯の集落で、私の家は一番奥の長屋の一軒目でした。その又奥にはたぶんもう一棟長屋が建築される予定だったのか、整地された広場になっていて、格好の遊び場でした、その広場の端に掘り起こされた大きな木の根っこがあり、跨ったりよじ登ったりして兄弟でよく遊んだことを思い出し、そんな写真を父は撮っていてくれなかったかなーと思い、沢山ある写真をひっくり返した見たところ、ありました!!一枚だけ!やっと発見しました。色あせていましたが確かにあの根っこです、イヤーッ!懐かしいです。写真を見て下さい、子供で小さいとはいえ、写っている私たちと比べてみても大きな根っこだったことが分かります、コピーが悪く歪んでしまいましたが、前の帽子が兄、その横が弟、後ろの顔が歪んでチョンギレて立っているのが私です。
弟は小さい頃はひ弱な感じでしたが今は大酒飲みです。長屋の後方に工場群の後ろのはげ山が見え、大煙突からの煙が白くたなびいているのが写っています。
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